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さて、「今日の一言メモ」第133回です。
「一斑を見て全豹を卜す」
「一斑 (いっぱん) を見て 全豹 (ぜんぴょう) を卜 (ぼく) す」とは、物事の一部分だけを見て、全体を推し量ることの例えです。
「斑」はまだら模様、「卜」は占うという意味です。皮にある一つの斑模様を見て、豹の皮だと知るということを指した言葉です。
昨日は、「一葉落ちて天下の秋を知る」という格言から、「 一を聞いて、十は無理でも、せめて二か三には辿り着く」という記事を書きましたが、今日は似て非なることを書いてみます。
「一事が万事」
類義の言葉として「一事が万事」があります。一つのことを見れば、他のすべてのことが推測できるという意味ですね。
また、一つの小さなことに見られる傾向が、他のすべてのことに現れるという意味でもあります。
ただ、全てが一事が万事と言ってしまうことに危うさも感じます。
論理学の世界で「一般化」という言葉があります。さまざまな事物に共通する性質を抽象し、一つの概念にまとめることを指します。概括、普遍化とも言います。
ただ、少ないサンプルから短絡的に一般化してしまう危険もあります。ある人が書いた字が下手で、文章も上手くないから、その人はだらしない人だ、と決めつけるようなことです。
最近では、高齢者ドライバーの事故をニュースでよく見ますが、ここにも一事が万事の風潮がないか危惧しています。(確かに高齢化による身体能力の衰えは問題だと思いますが…)
少子高齢化が進む中で、全国のドライバー人口に占める高齢者ドライバーの比率が増えていることは想像に難くありません。
そして、それにつれて事故件数も増えていると思います。ただ、全体の死亡事故の中で、75歳以上のドライバーが起こした事故の比率は近年でどの程度増えているのでしょうか。
もしかして、若い10代、20代のドライバーが起こす事故の比率の方が、もっと増えているのかもしれません。
そうした客観的な数値を示すニュースや報道を、なかなか目にすることはありません。
今の報道の在り方が、高齢者ドライバー全体を悪とするバイアスをかけているのではないか、そして、その方向に一般視聴者が誘導されていないか、と危惧しています。(そうでないことを祈りますが…)
一事が万事となるかどうか、自分たち自身で賢く慎重に見極めないといけないと思います。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2019.6.12記)